グノー「サバの女王」 あらすじ

今年の《Anniversary Series》は、今年生誕200年を迎えるフランスの作曲家シャルル・グノーの作品を上演いたします。
オペラ「サバの女王」も上演予定作品でありまして、こつこつ準備を進めています。
抜粋で演奏会形式での上演となります。

その「サバの女王」のこのような作品です。あらすじをご紹介します。
 【サバの女王】La Reine de Saba

【登場人物】
Balkis(バルキ)サバの女王 ソプラノ
Soliman(ソリマン)イスラエルの王 バス
Adoniram(アドニラン)建築家、彫刻家 テノール
Benoni(ベノーニ)アドニランの弟子 ソプラノ
Amorou(アムルー)職人 テノール
Phanor(ファノー)職人 バリトン
Merhoussal(メテゥザエル)職人 バリトン
Sadoc(サドック)王女の侍女 メゾ・ソプラノ
Sarahil(サライール)王女の侍女 バス

第一幕
舞台は彫刻家アドニランの仕事部屋
アドニランはソリマン王の神殿に安置する像の製作に余念がない。
そこに弟子のベノーニが入って来て、今日はサバの女王がこの国に来られるので王は今日を祝日とし国民に働いてはならないと命ぜられたと告げる。そして、アドニランがサバの女王とはどんな人かと問うと、ベノーニは小アリアの中で美しく素晴らしい人と讃える。
そこに、三人の職人、アムルー、ファノー、メトゥザエルが現れ、身分を親方に格上げし、賃金を上げてくれと要求する。しかし、アドニランはお前たちの仕事はそれに値しない一蹴し、弟子たちを連れて出てゆく。残った三人は復讐を誓う。

[第二場]
舞台はエルサレム。街を睥睨できる高台、近くに建設中の神殿
歓呼に迎えられ到着したサバの女王バルキは、この街の素晴らしさを讃え、建設中の神殿の設計者を尋ねる。王は「その男はティルの王から贈られた変わった男で、常に夢をみているようだが才能のある男なのだ」と説明する。そこに当人のアドニランが挨拶に参上するのでバルキは彼女の首飾りを彼に与え、皆はこの栄誉を讃える。

第二幕
舞台はシオンの原に造られた鋳造所、大炉が設けられている
アドニランは鋳型に青銅を流し込む最後の段階を迎え、成功を神に祈る。
アリア〈聖なる部族よ、霊感を与え賜え、 Inspirez moi, race divine〉
職人たちも神の加護を祈りながら炉の温度を上げてゆく。この様子を見に王はサバの女王及び廷臣たちを引き連れて現れ、設えられた見物台に腰をおろす。アドニランはバルキの前に跪き、高覧の栄に浴することを感謝し、王もバルキも彼を鼓舞する。
アドニランは炉を開けに入ってゆく。そこにベノーニが駆けつけ「三人の職人が裏切ってサポタージュをしているので、炉が安全でないからアドニランを助けて」と言うが、時はすでに遅く、炉は開かれるやいなや爆発し、真っ赤な青銅は飛び散って流れ出し、人々は逃げ惑う。

第三幕
舞台はヤシの茂るシロエの湖畔。夜明け
若い娘たちに取り囲まれているバルキは、娘たちにしばらく一人で休みたいと皆を去らせる。バルキはアドニランに魅了されてしまった、彼女は女王であると同時に私は一人の女だと歌う。
アリア〈平民であってもより偉大なのだ Plus grand dans son obscurité〉
そこにアドニランがやってくる。バルキは悲嘆にくれる彼を慰めようとするが、彼は「貴方は王の花嫁となられる方、私は平民の職人、身分が違います」と言って彼女の慰めを受け付けない。しかし、バルキは「私は王を愛していない、まだ自由の身です」と言い、彼に愛を告白してしまう。
アドニランはついにバルキはを引き寄せ二人はひしと抱擁する。そこにベノーニが現われ、忠実な職人たちが徹夜で復旧作業をし、その結果アドニランの設計通り出来上がったと伝える。二人は喜び「ホザンナ」と叫び幕となる。

第四幕
[第一場]
舞台はメロ、ソリマンの夏の宮殿の一室
宮殿には人があふれ、王の出席のもとに華麗なるバレエがくり広げられる。しかし、いくら待ってもサバの女王バルキは現れない。王はだんだん不機嫌に皆を退かせ、一人歌う。
アリア〈一人の女性の足元に Sous les pieds d'une femme〉
王は四日間もすべての用意を整えて待っているのに現れないサバの女王に恨み言を言いながらも、やはり彼女を諦めきれない思いを切々と歌う。
そこにアドニランの三人の裏切り者アムルー、ファノー、メトゥザエルが王の拝謁を求めてくる。王の許しで入ってきた彼らは、「アドニランがサバの女王のテントに出入りしており、王を裏切っている」と奏上する。王はそれを信じようとしないが、三人は絶対に偽りではないと誓う。
そこにサドックが現われ、当のアドニランの来訪を告げる。王は彼を丁重に迎え、彼の偉大な業績を讃え、王に次ぐ位置を与えようと言うが、アドニランはあくまでも芸術家として自由でありたいと王の申し出を辞退する。

[第二場]
舞台はセドロン河の湖畔
空は荒れ模様で、時々稲妻が走る。ここでアドニランはバルキを待っている。彼はここから彼女と共にこの国を離れていくつもりだった。そこに例の三人の職人が現われ、親方にせよと迫るが、アドニランは断固としてこれをはねつける。すると、三人は凶器を取り出しアドニランを刺し、嵐にまぎれて逃げ去る。
そこに現われたバルキはアドニランを探す。彼は虫の息で彼女を呼ぶ。
驚いて駆け寄るバルキに彼は最後の別れの言葉を言い、生き絶える。バルキは死せる彼の指にソリマン王から戻してもらった指輪をはめ、「そなたは死しても我が夫」と言い、駆けつけた人々にアドニランの死体を示し、女王らしい威厳を保って歌う。
アリア〈夜を通して別の岸に運ぶのです Emportons dans le nuit vers un autre rivage〉
その時、嵐は去り、アドニランが昇天する姿が見え、人々は彼の偉業を讃える。

永竹 由幸著「オペラ名曲百科」音楽之友社より「サバの女王」から引用

youtubeでもお聞きいただけます。